お問い合わせ
MENU
前のページへ戻る

多面的機能【国営造成施設管理体制整備促進事業】

多面的機能【国営造成施設管理体制整備促進事業】

はじめに

 妙高山を始めとする山々の下腹部に存在する水田や畑は、雨や雪をゆっくりと地下にしみ込ませ地下水を育み、地すべりを防いでくれます。
 高田平野の平地では水田や畑の水路が洪水や水不足を防いでくれます。また、地下水はいろいろなところで使われています。
 関川地区土地改良区連合管内の水田や畑などの農地は農作物を育むほかにもいろいろな役割を果たしています。それは、私たちの暮らしを支えるさまざまな恩恵であり、この水田や畑は「生産」だけでなく私たちの生活・文化・環境を支える「多面的機能」を有しています。

満々と水を湛える笹ヶ峰ダム

国土保全

 妙高山を始め山々の下腹部にある「棚田」は、水を溜め、地すべりを防ぐダムの役割を果たしています。
 また、高田平野の一面に広がる水田は雨水を一時的に溜め、1級河川関川を含めた大小の河川の氾濫を防ぐ役割を持っています。
 先人から続く「農業」現在も営む人々によって畦が築かれ大切に維持されている水田が、雨をしっかり受け止め、少しずつ下流へと流す働きをすることで洪水を防いでいます。
 また、水田は土砂の流出を防ぐとともに水を溜める働きもあるため、大雨が降ってもすぐに洪水とはならず、土砂を流してしまう心配もありません。地すべりや洪水を防ぎ、国土や財産を守る大切な役割を果たしています。

昭和56年1月25日地滑り災害
(妙高市馬場)

平成7年7月11日 新井南中プール崩落
(妙高市除戸)

水源涵養

 この絵のように関川地区土地改良区連合管内の水田に、たまった水は地下にも浸透しています。長い年月をかけて深い地層に溜まる水もありますが、大部分の水は水田の浅い地下に溜まり、そこから少しずつ関川を始めとする河川や各排水路にしみ出して、再び下流の水田で用水として使われるようになります。
 水田はこのように、雨水を吸収し、保つ機能を持っています。この水田がなければ、妙高山を始めとする山々に降った雨や雪解け水はすぐに川となって日本海へ流れ去ります。
 この地で農業が営まれることで、山の水は水田に溜まって豊かな稲を育て、その水はさらに下流で工業用水や生活用水として再利用されています。
 先人から続く農業を営むことで、潤沢な水が供給され続けます。

環境保全

 関川地区土地改良区連合管内の植物は空気をきれいにする働きがあります。
 光合成の働きによって空気中の二酸化炭素を吸い込み、酸素を吐き出し、水田の稲や畑の作物が元気に育つことで、空気がきれいになります。
 また、水田や水路の中の微生物の働きによって水が浄化され、水田は森林と同じように気温を調整する働きもあります。
 こうした水田や畑は、森林とともに生活環境や自然環境を守っています。
この地には植物や昆虫がたくさん生育しています。水田や水路には水棲生物が生きています。これらの昆虫や水辺の植物・動物を求めて鳥なども訪れます。
 農業を営む人々と農地があることによって、これらの生物たちが生きる環境が維持され、生態系が保たれています。

 

景観創造

 伝統的なこの地の家屋や美しい水田の景観は、訪れる人々を魅了します。農村の美しい風景は、やすらぎとゆとりの心を育み、ホタルなどが生息できるきれいな水辺や美しい自然環境が生活の場と隣り合わせているのも、農村ならではの特徴です。こうした美しい風景を継承できるのは、農業の営みがあるからです。
 市街地にある水田や畑、水路のある水辺の景観も身近な癒し空間です。農作物の生育とともに変化をもたらす実りの風景は、いつも私たちの心を和ませてくれます。
 普段何気なく見過ごしている農作物の風景も、農作物という実りを得るだけではなく、美しい景観を守るという大切な役割も果たしています。

 

元気爽快

 四季の変化に応じて美しい風景をつくるこの地は、あわただしい都会の雑踏で過ごす時間とはまた別の、自然との対話によりゆったりとした気持ちにさせてくれます。都会から訪れる人々は、そうした自然に包まれることによって元気を取り戻すのかもしれません。
 山間部の水田や畑は美しい景観を創り、独自の自然や文化を育んできました。都会ではみられないこうした景観や農村の実りの風景は、人々に心のやすらぎや潤いをもたらしてくれます。また、多くの人々の活力源となっているともいえるでしょう。
 この地は、これからもますます大切な心のオアシスとしての役割が期待されています。

文化伝承

 この地には、農業を営む上で大切にしてきた様々な行事や伝統があります。それは豊作を祈り、大自然の恵みに感謝することで培われてきました。
 古くから伝わる独自のお祭りは伝統芸能へと発展し、それを伝え守ることにより人々は交流を深め、地域社会を支える絆となってきました。今では地元への愛着心を育み、地域を活性化する大きな要素ともなっています。
 また、この地には四季に合わせて生活を営む工夫があり、郷土の気候や地理的条件を利用して生活を豊かにする知恵があります。長年にわたる農業の営み、そして、それに携わった人々の生活の中で、様々な技術や用具など固有の文化が生まれました。農業の営みの中には、歴史的な価値のある文化が数多くあります。 それは、郷土に生まれ、生活していくうえでの誇りを育む、かけがいのない財産です。
 今に伝わる農村の文化は、先人に感謝し、農業を継続することで継承されていきます。

最後に

 このように、関川の水(農業用水)はあらゆる多面的機能を有しています。これも、ひとえに先人から続く農業を現在まで守ってきた結果だと思います。
 しかし、未来永劫続けていかなくてはいけない農業も、昨今の農業巡る環境の厳しさから、耕作放棄地を始めとした農地荒廃が著しく進み、住宅団地等の造成により農地転用も増大しています。
当地区では、国営造成施設管理体制整備促進事業に取り組んでおり、関川地区管理体制整備推進議会では「21世紀土地改良区創造運動」を契機に、土地改良区の歴史やその役割を学び農業の果たす多面的機能、地域の自然環境への関心と理解を高め、将来を担う感性豊かな子供たちを育むことを目的に展開しています。

小学校用水学習会

上江用水見学会

国営造成施設管理体制整備促進事業とは

 国が整備したダム、頭首工、水路等の農業水利施設の多くは国有財産として土地改良区に管理委託されています。これらの施設は適切な維持管理が行われることで、多面的機能を発揮しています。
農業水利施設の発揮する多面的機能に対する地域の期待は依然として高い一方で、大規模・少数の担い手が中心となって農地の大宗を耕作する農業構造への変化に伴い、農業水利施設の管理や操作は高度化・複雑化しています。 
また、施設の老朽化が進行する中、近年頻発する異常気象や突発事故時に対応した厳格な管理が求められており、国土強靱化・インフラ長寿命化の取組を進める観点からも、施設管理者である土地改良区の公的役割は増大しています。
これらに対応していくためには、地域住民等を含めた非農家の管理参画の枠組を構築しつつ、安定的な管理体制を整備・強化していく必要があります。
 これらのことから、土地改良区による農業水利施設の管理体制について、地域住民等の多様な主体の参画による安定的な体制の整備・強化を図るため、下記の3点について支援が行われる事業です。

① 管理体制整備計画の更新及び管理体制整備の推進活動
② 管理体制整備・強化に対する支援
③ 管理体制整備の促進に向け、突発事故・異常気象に対応するための調査・計画策定や、必要となる施設整備(予防保全・省エネルギー化対策、地域防災対策等)の実施

 

  • 関川水系土地改良区
  • 和田地区土地改良区
  • 妙高市観光協会
  • 水上土地改良区
  • 各種申請様式